カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 様

300以上のジョブディスクリプションを1ヶ月半で作成。ジョブ型人事制度の基盤を構築

生活関連サービス

1,000〜3,000人程度

  • AIアシスタントJD作成
  • データ連携・活用
  • 職務情報の運用

導入企業

社名 カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
従業員数 2,004名
コーポレートサイト https://www.ccc.co.jp/

 

課題と導入効果

課題
  • ジョブ型人事制度に移行するも、ジョブディスクリプションが未整備だった
  • 多様な事業・職務があり、統一性のあるジョブディスクリプションを作るのが難しかった
解決策
  • AIを使って、短期間に効率よくジョブディスクリプションを作成
  • 事業・職務の情報をAIが整理し、ジョブディスクリプションの粒度を標準化
導入効果
  • 全社で一貫性のあるジョブディスクリプションを作成できた
  • AIの提案をもとに建設的な議論が生まれた
  • 人事施策に対する社員の理解が深まった
  • 職務について多くの気づきを得られた

 

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社は、「カルチュア・インフラを、つくっていくカンパニー。」をミッションに掲げ、TSUTAYAや蔦屋書店などのプラットフォーム事業、マーケティング事業、公共サービスなど、多様な事業を国内外で展開しています。

同社は、事業変革に伴い2022年から組織再編に着手し、ジョブ型人事制度への移行を進める中で「Job-Us」を導入。多岐にわたる職務のジョブディスクリプションを短期間で作成することに成功しました。

「Job-Us」を使ったジョブディスクリプションの作成や導入後の変化について、人事施策を担う桶谷さん、小島さん、杉本さんにお話を伺いました。

 

ジョブ型人事制度への移行でぶつかった壁

人事・総務本部 人事部 オペレーション企画 グループリーダー 桶谷千穂さん

 

―まずは、ジョブ型人事制度導入の背景を教えてください。

桶谷さん:私たちカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下、CCC)はここ数年、事業転換や新事業の展開など、変革期を迎えています。そんな中、従来のメンバーシップ型の人事制度では変革スピードに人が追いつかない、評価制度も事業に対応しなくなるなど、事業と人事制度とのミスマッチが起き始めていました。

そこで、年功ではなく職務をベースとした人員配置・評価制度の構築を実現するため、ジョブ型人事制度の導入を決めました。

 

人事・総務本部 人事部 人事企画 グループリーダー 小島類さん

 

小島さん:第一歩として、2023年に職能ベースから職務ベースの評価報酬制度に変更し、次のステップとして、2024年に「Job-Us」を導入してジョブディスクリプション(以下、JD)の作成に着手しました。現在はJDの最終調整を行い、評価報酬制度のさらなる整備を進めています。

 

―ジョブ型人事制度の導入やJD作成にあたり、どのような課題があったのでしょうか?

小島さん:まず人事制度の変更から取り組み始め、職務に基づいた報酬制度の実現を目指しました。しかしながら、職務の明確な定義がないので、社員がそれぞれの主観で職務を解釈し、統制がとれない状態に陥ってしまったんです。また、そもそもの人事施策の目的や具体的な中身が社員に伝わりにくいという問題もありました。明確な評価基準を作るため、そして社員の指標となるものを作るためにも、JDの作成は不可欠だったんです。

こうして急ぎ作成に乗り出しましたが、今度は「一体何を基準に作ればいいのか分からない」という大きな壁にぶつかりました。

 

桶谷さん:悩ましいのは、当社は多様な事業があり、職務も多岐にわたることです。本部だけで10本部あり、書店やカフェの店舗スタッフもいれば、ポイントサービスの営業、データアナリストなどのIT人材、事業開発、そして私たちのような人事・総務もいる——という中で、全社共通の基準でJDを作るにはどうすればいいのか。人事部がすべてを把握して共通項を見出そうとしたら、膨大な時間と労力がかかりますし、各部門に任せたら、バラバラのものが上がってくるのは目に見えています。

 

CCCの組織体制

 

小島さん:どうやって形にしていこうかと考え、JD作成の支援ツールやプログラムをいろいろと調べる過程で「Job-Us」を知り、「これだ!」と飛びつきました。

 

AIでドラフトを作成→編集の2ステップで完成

人事・総務本部 人事部 人事企画 杉本遥香さん

 

―「Job-Us」を導入後、JDの作成はスムーズに進みましたか?

杉本さん:各事業部の職務を横並びで整理し、全社で一貫性のあるJDを作成できました。それも、当社の事業に即した、現場の社員が見ても納得感のあるJDが集まったんです。作成自体も、AIの自動生成機能を使って効率よくスピーディーにできました。導入前は、それこそ何から手をつければいいかも分からない状況だったので、大違いです。

 

―作成の流れを簡単に教えていただけますか?

杉本さん:まず、人事部で職務概要やグレード要件、評価基準、ミッション、目標など当社のデータをインプットし、AIを使って全職務のJDのドラフトを作成。それを社内システムにアップロードし、各部門の部長・課長クラスが編集、最後に各本部で整えるという流れです。最終的に、約300もの職務のJDを1ヶ月半で形にすることができました。

ドラフトの作成も、キーワードを打ち込んで出てきた候補を選択するだけなのでとても簡単です。ドラフト1件につきわずか2分で作成でき、サクサクとストレスなく進められました。

 

―どのくらいの時間短縮につながったのでしょうか?

小島さん:そもそも、「Job-Us」を使わなければ永遠に作成できなかったかもしれません……。時間短縮どころの次元ではありませんね。

人事部だけでは何百ものJDを作成できませんし、現場に依頼しても質を揃えることができず、提出率も大幅に下がったはず。自分たちでゼロから作るのではなく、AIでドラフトを作り、現場の社員はそこに手を加えるだけでよかったので、人事部にとっても現場にとっても、作成のハードルが大きく下がりました。

 

―作業効率アップのほかに、何か良い影響はありましたか?

杉本さん:AIで作成したドラフトのおかげで、社員同士のコミュニケーションにも変化が生まれました。以前は職務内容のすり合わせをしようにも空中戦で、なかなか意見がまとまらなかったのが、ドラフトをみんなで見ながら、「一般的な職務はこう定義されているけど、CCCの場合はこうじゃない?」「ここはAIの提案のままでいいね」などと、AIが提案する標準的な職務内容と比較しながら、建設的に議論できるようになりました。

 

小島さん:何もないと、どうしても個人の意見に引っ張られてしまいます。AIの提案を議論の叩き台に、「人」ではなく「職務」を基準に話し合えるようになったのは大きいですね。

 

AIが瞬時に、自社に合った質の高い提案をしてくれる

―「Job-Us」で特に役立った機能は何ですか?

小島さん:やはり何といっても、AIアシスト機能が素晴らしいなと。導入後、まずは人事部で自分たちのJDを作成してみたときに「これ、すごくない!?」とみんなで感動したんですよ。キーワードを打ち込むだけで瞬時に質の高い提案が出てきて、しかも当社のデータを反映し、ちゃんとCCCらしいものになっている。提案として申し分ないクオリティーでした。

 

杉本さん:当社のグレード要件を「Job-Us」に読み込ませて、業務内容のレベルに見合った職務定義をしてくれたのも助かりました。当社は1つの職種につき3つのグレードを設けているのですが、もしこれを各自が定義していたら、上位グレードと下位グレードが重複したりして、すり合わせが大変だったはず。人事が作っても、今度は期待の高すぎるJDになってしまい、やはり調整が難しかったと思います。AIのおかげでグレードの整理がスムーズに進み、これまで曖昧だった役割分担も明確化されました。

 

―JD作成にあたり、社員のみなさんの反応はいかがでしたか?

小島さん:最初は、ジョブディスクリプションと言うと「また難しい英語が出てきた!」みたいな反応でしたが(笑)、まず「下書きはできている」と聞いて安心していただけたのではと思います。さらに「AIが書いた」と聞いて、「どれどれ」「自分の職務はどう書かれているんだろう」と興味を持ってもらえたのが良かったですね。

 

杉本さん:作成段階においても、社員みんなが楽しみながら取り組んでいた印象です。AIが作ったJDを編集するだけでなく、AIを参考にしながら自分で作成したり、まずは自分で作ってみてAIを答え合わせに使ったり。すべてのJDを閲覧できるようにしていたので、お互いに比べ合ってブラッシュアップする場面も見られるなど、それぞれ工夫して前向きに取り組んでくれました。

 

―社員のJDに対する理解促進のために、工夫したことはありますか?

杉本さん:JD作成の前段階で、CHROの高橋が今回の人事施策をサッカーのポジションに例えてレクチャーしたんです。「ミッドフィルダー、フォワードにどんな選手がいたらいいか、それをみんなに考えてほしい。AIの提案に対し、CCCのオリジナリティーを加えてほしいんだ」と伝えたところ、みんな「なるほど!」と。

そこからは、AIにアシストしてもらいながら実際にJDを作成するプロセスを通じて、社員の職務に対する考えがさらに深まり、人事施策に対する社内の理解も進んだと感じています。

 

企業が目指すところに対し、それぞれが担うべき役割を再確認できた

―JD作成のほかにも得られた効果があれば、教えてください。

桶谷さん:印象的だったのは、AIが提案するJDを見て「この職務は本来こういう役割なのか」「ここまで期待されているんだ」という気づきを得られたことです。「果たして自分はここまでできているか」と、自分の仕事を見直すきっかけにもなりました。JD作成に携わったほかの社員のみなさんも、きっと同じだと思います。

 

小島さん:ドラフトをもとに「標準的な職務に対して、CCCだからこそ求められることは何か」などと、普段は話さないようなことを議論できたという声もいただいています。職務についてお互いの考えを知り、深く考える機会になったのではと感じています。

 

桶谷さん:事業の変革期というフェーズで、CCCが目指すところに対し、それぞれが担うべき役割を社内で再確認できたことは大きな意味があると感じています。内輪だけで取り組んでいたらできなかったことなので、改めて、「Job-Us」を頼ったのは正解だったなと思います。

 

―今後、「Job-Us」をどのように活用していきたいですか?

桶谷さん:社内のスキルを体系化する「スキルライブラリ」の機能を使いたいですね。当社独自のライブラリを構築し、プロジェクトや部門とのマッチングに活かしていきたいです。

 

―最後に、今後の展望をお聞かせください。

桶谷さん:ジョブ型人事制度に移行する準備を開始したのが2022年 。そこから評価、報酬制度の変更、JDの整備を経て、私たちは今期を「運用初年度」と位置付けています。まだまだ道半ばであり手探りの状態ですが、これからもCCCにとって最善の人事制度を追求し、形にしていきたいです。

 

※掲載内容は、2024年10月の取材時点のものです。