事業成長の鍵は「個の自律」。500のジョブと2,000名の人材基盤を整えた、AI時代の人的資本経営
建設・住宅
1000人以上
- AIアシスタントJD作成
- 保有スキルの可視化
導入企業
| 社名 | 野村不動産パートナーズ株式会社 |
| 従業員数 | 6,963名 |
| コーポレートサイト | https://www.nomura-pt.co.jp/ |
課題と導入効果
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| 解決策 |
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| 導入効果 |
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野村不動産パートナーズ株式会社は、野村不動産グループの運営管理部門として、ビル・マンション管理から改修・リフォーム、データセンター管理まで多角的に事業を展開しています。
同社は、新経営計画における人事戦略の柱として「社員の自律的なキャリア形成」を掲げ、その基盤となるジョブ(職務)と人材の可視化のためにJob-Usを導入しました。人手では困難だった500ポジションのジョブ定義と2,000名規模の人材情報の可視化を、Job-Us活用することで短期間で構築することに成功しています。
AIを活用したJDの作成と人材データの可視化において、グループの「先駆け的存在」へと変革したプロセスの裏側と今後の展望について、プロジェクトを主導した小野様と高道様にお話を伺いました。
課題は“公平性”と“標準化”。人では不可能な客観性をAIに求めた

(写真右)人事部人事課 担当課長 小野様
(写真左)人事部人事課 高道様
―まずは、お二人の所属部署やミッションついて、お聞かせください。
小野様:
私は現在、野村不動産パートナーズの人事部人事課の担当課長として、人事制度改定や人的資本経営、人事戦略を担当しています。また、4月からは野村不動産ホールディングスにも兼務出向し、グループ全体の人事戦略、人的資本経営にも携わっています。
高道様:
私も所属は同じ人事部人事課になります。主に業績・賞与の評定や計算実務を担当しながら、人的資本経営の補佐として、Job-Usをはじめとするシステム運用や管理を担っています。
—今回、ジョブディスクリプション(以下、JD)の導入に着目された背景について、お聞かせください。
小野様:
JDに着目した理由は大きく2つあります。1つ目は「社員の自律的なキャリア形成」、2つ目は「事業成長上の課題解決」です。
弊社はビル、マンション、データセンター、リフォームなど事業領域が幅広く、多様な経験ができる点を入社の魅力としています。しかし、実際に入社してみると、他本部が何をしているのか分からず、人事面談でキャリアプランを聞いても「他の仕事を知らないので答えられない」という声が多く聞かれました。その結果、人材の固定化やスキルの限定化が起きかねない状況にあり、仕事を「見える化」する必要があると考えました。
また、事業成長の観点でも、弊社は管理会社であり「人がスキルを使って稼ぐ」ビジネスモデルです。そのため、人の成長が事業成長に直結します。経営企画部の担当役員や人事部長と15回ほど議論を重ねた結果、「ジョブと人材の可視化は避けられない」という結論に至りました。これを新経営計画と連動した人事戦略の柱として策定し、プロジェクトがスタートしました。
—JDの作成・導入には多くのハードルがあったかと思います。導入にあたり、どのような課題がありましたか?
小野様:
最大の課題は、総合職2,000名という対象者の多さと、多様な事業領域を人事が全て把握しきれない点でした。また、現場を巻き込みすぎると負担がかかりますし、「それでお金を生むわけではない」という反発も予想されました。コンサルタントに依頼すればコストもかさみます。
特に懸念していたのは「公平性と標準化」です。通常の人事評価でも、評価者の甘辛(評価基準のブレ)を調整するのは非常に大変です。JD作成においても、作成者間で大きなブレが生じる懸念がありました。
—その中で、Job-Usを導入いただいた決め手は何だったのでしょうか?
小野様:
当初は「AIで本当にできるのか」と半信半疑でしたが、最も期待したのはAIによる「標準化・公平性」です。また、人手や外部コンサルタントに頼らずに進められる「スピード感」と「工数削減」も大きな魅力でした。外部コンサルタントに頼むにしても、相当の工数がかかり現場にも負担をかけてしまうので。
「客観的なAIだからこその信頼性」―経営層を納得させた客観的根拠と圧倒的なスピード感

―実際にプロジェクトを進めてみて、Job-Usのプロダクトやサービスについてどのような効果を感じられましたか?
小野様:
これまで様々なシステムを触ってきたのですが、Job-Usは非常に直感的に操作でき、まずプロダクトの使いやすさを感じました。導入後、特に効果を感じたのは「標準化」の部分です。本部や部店の方針、職能等級などを設定し、レポートラインを整えてAIに読み込ませることで、夏頃から急激に精度が向上しました。
また、特に印象的だったのが経営層にデモを実施した際の反応です。当初、私たちは「AIの判定は70点程度なので、最後は上司と部下が話し合って調整します」と説明していました。しかし、経営層からは、「人が調整すると主観が入るため、むしろ社員が不満を持つ。感情のないAIの方が客観的に受け止められる」という意見が出たのです。
インプット情報を修正できる仕組みにすれば、判定自体はAIに任せた方が良いという判断になり、AIの客観性が逆に信頼に繋がりました。AIの提案に「根拠」がついてくるので、それが非常に良かったです。
—プロジェクト開始から半年以上が経過しましたが、当初と現在で、弊社のサービスに対する印象に変化はありましたか?
小野様:
正直なところ、最初はSaaS型のサービスなので「融通は利かないだろう」と覚悟していました。「システムができる範囲に合わせて、自分たちが運用を合わせるしかない」と割り切っていたのです。
しかし、実際は全く違いました。まるで開発レベルから携わっているような感覚で、こちらの要望に対して、Job-Usさんは「社内のエンジニアチームにすぐ相談して対応する」といった動きをしていただきました。こんなに柔軟に対応してくれるSaaSがあるのかと、印象が大きく変わりました。
私たちも他の業務を兼務しながらのプロジェクトでしたが、サーベイ実施からわずか半年というスピード感で、500ジョブのJD作成と社員2,000名のプロファイル構築が完了する見込み(12月取材時点)です。一般的なシステム導入ではスケジュールが遅延しがちですが、予定通りに進められたこのスピード感と柔軟性は、プロダクトの質の高さあってこそだと実感しています。
—当初はJD作成が主目的でしたが、「社員プロファイル(人材データの可視化)」機能についてもご活用いただきました。こちらの反響はいかがでしたか?
小野様:
実は当初、社員プロファイル機能を使う予定はなく、自前のExcelサーベイで対応しようと考えていたのですが、実際に導入してみるとこれが非常に好評でした。自身の経歴を棚卸しし、AIが客観的にスキルレベルを判定して可視化される体験は、社員にとって非常に新鮮だったようです。
部長クラスの研修でも、「自分の社歴を棚卸しして、市場価値やスコアが見えたのが良いきっかけになった」という声が多く寄せられました。JDそのものよりも、このプロファイル機能の方に社員の関心が集まっていると感じるほどです。
高道様:
私自身、前職は公務員で、こういったAI活用やジョブの可視化とは無縁の世界にいました。以前の環境では、キャリアパスが不明確な部分があり、そこにエンゲージメントを感じにくい部分がありました。今回、Job-Usで私自身の経歴を入力し、スキルが可視化された時の驚きは非常に大きかったです。組織の透明性が高まることで、行政のような組織も含め、もっと良くなるのではないかと客観的に感じています。
本人・上司・AIの「3つの視点」が社員の気づきを促す

―プロジェクトを進める中で、特に苦労された点や、振り返って重要だったと感じるポイントはありますか?
高道様:
実務面で最も苦労したのは、既存のサーベイ結果とJob-Usとのデータ連携部分です。当初からシステム連携を前提にデータを取得していたわけではなかったため、整合性を取るための調整には時間を要しました。
また、スムーズな導入の鍵となったのは、現場向けに実施した「ワークショップ」です。 当初は、外部コンサルタントと共に各部・支店を行脚してヒアリングを行い、JDを作成する計画もありました。しかし、それをワークショップ形式に切り替え、JD作成の目的やAIの仕組み、昨今のキャリア自律の重要性を丁寧に説明する場を設けました。
もしこれを実施していなければ、「なぜJDを作るのか」「AIはどう動いているのか」を社員が理解できず、混乱していたと思います。研修プログラムの設計から説明方法まで推敲を重ねたこのプロセスが、プロジェクト成功の肝となりました。
小野様:
正直なところ、当初は私自身も具体的なゴールイメージが完全には見えていませんでした。しかし、ワークショップを通じて「今は会社にキャリアを委ねるのではなく、自らスキルを獲得して成長する時代である」という背景を伝えることができたことが大きかったですね。
「AI技術があるからこそ、今まで不可能だった可視化が可能になり、キャリア自律ができるようになった」という認識をもってもらえたのではないかと思います。
―現場の社員の方々の反応はいかがでしたか?
小野様:
一部には「ジョブ型人事制度に移行するわけでもないのに、JDを作るんですか?」といった戸惑いの声はありましたが、AIが判定したスキルレベルに対して「AIがおかしい」「判定に納得できない」というネガティブな意見が現状では一件も出ませんでした。納得感が得られるJDが作成できてきていると感じています。
唯一あったのが、「自分はこんなにスキルが高くないはずだ」という謙虚な反応でした。しかし、その方の上司に確認すると「いや、彼は本人が思っている以上に高い能力を持っている」という評価でした。
この出来事により、「本人認識」「他者(上司)認識」、そして「AI認識」という3つの視点が揃うことの重要性に気づきました。客観的なAIの評価が入ることで、自己評価のバイアスを補正し、正しい自己認識や自信に繋げることができます。
「ジョブ図鑑」の活用へ

―現在はどのような体制でプロジェクトを進められているのでしょうか?
小野様:
基本的には人事部長が統括し、私がプロジェクトリーダー、実務を高道が担当するという少数精鋭の体制です。他の業務や出向業務も抱える中で、約半年という短期間でここまで進められたのは、Job-Usのプロダクトの柔軟性と、カスタマーサクセスの方の手厚いサポートがあったからこそだと感じています。
―今後の具体的な活用イメージや展望についてお聞かせください。
小野様:
これまでは「与えられたキャリア」を歩む時代でしたが、今は「自らスキルを獲得し成長する」時代です。Job-Usによって、そのための土台が整いました。
具体的には、毎月の1on1で活用していく予定です。「ジョブ図鑑」として公開された社内の仕事から、部下が「なりたい仕事」を選び、上司と画面を共有しながら現状のスキルギャップを確認します。そして、「このスキルを伸ばすために、次はこんな仕事をしてみよう」といった対話を行う運用を想定しています。
これまでは管理職は業務マネジメントがしっかりできていれば良い、という風潮もありましたが、今後は「部下の成長支援やキャリア支援」といったピープル・マネジメントも管理職に求められる重要なスキルである、ということが会社の認識となってきています。実際に、来期から導入される役割給制度の評価項目には「人材育成・キャリア支援」が組み込まれており、これができないと上位の役割ランクに到達できない仕組みになっています。
―非常に先進的な取り組みですね。
小野様:
グループ内でも、当初はDXやAI活用において後発でしたが、JD作成や社員データの可視化では先行しており、グループ各社より当社の取り組み内容についてヒアリングされることも増えました。
グループの2030年ビジョンである「幸せと豊かさの最大化」に向けて、社員のエンゲージメント向上とキャリア自律を実現するため、今後もJob-Usの可能性を最大限に引き出していきたいと考えています。
※掲載内容は、2025年12月の取材当時のものです。