ジョブ型人事
ジョブディスクリプション / 職務記述書

なぜ、ジョブ型人事は定着しないのか? ─ “運用の谷”を越えて、制度を現場で動かす方法
目次
ジョブ型人事が現場で機能しない本当の理由
陥りやすい“制度だけ導入”の落とし穴
「ジョブディスクリプションは作成したが、その後は放置されている」
「社内でジョブディスクリプションがほとんど認知されていない」
「ジョブ型制度は導入されたが、現場の運用には結びついていない」
こうした声は、ジョブ型人事を導入した企業から頻繁に聞かれます。
400社を超える企業との対話を通じて明らかになった共通の課題は、ジョブディスクリプション(JD)や制度そのものが社内に浸透せず、結果的に形骸化してしまうという点です。
ジョブ型人事は、単に導入しただけでは効果を発揮しません。制度が真に機能するには、現場での実践と継続的な運用を可能にする仕組みが必要です。
ジョブ型人事の本質 ─ 人と組織をつなぐ「職務」軸による再構築
“ジョブ”を起点に全社の人事施策を連動させる思想
ジョブ型人事は、ジョブディスクリプション(JD)を作成するだけの施策ではありません。
本来の狙いは、ジョブ(職務)を出発点に、経営戦略や組織構造と人事施策(等級、報酬、配置、育成、評価など)を一貫して接続することにあります。
この構造が理解されずに形式的に制度を導入した場合、現場での活用に結びつかず、制度が空回りすることになります。
ジョブ型人事は「制度」ではなく「設計思想」である ─ この認識の有無が、成功と失敗を分ける分岐点になります。
形骸化を招く“運用の谷” ─ 「曖昧運用期」の実態
導入後の失速を防ぐために越えるべき壁
ジョブ型の導入フェーズは、以下の3段階に分けられます。
- 導入期 :JD作成・制度設計の初期段階
- 曖昧運用期:制度は導入されたが、現場で活用されていない状態
- 本格運用期:人事制度全体と連動してJDが活用されている状態
多くの企業が曖昧運用期でつまずき、ここが「運用の谷」となります。
ジョブ型の運用の谷にとどまると、
- 作成したJDが更新されずに放置される
- JDが等級・報酬制度や育成計画と連動していない
- ジョブ型を本社人事は理解しているが、現場では認識されていない
といった事態が発生し、制度の本来の意義が失われていきます。
この谷を越えない限り、ジョブ型人事は制度として機能しなくなっていくのです。
ジョブディスクリプションが“使われない”構造的課題
人事施策とジョブ情報の“断絶”が引き起こす非連動
ジョブ型人事が定着しない最大の理由は、ジョブ情報(ジョブディスクリプション)と各人事施策が分断されていることにあります。
ジョブディスクリプションは、作成自体に多大な工数がかかるため「作成すること」が目的になってしまいがちです。
JDの作成が目的になると、人事施策の運用まで行きつくことが困難になります。
- JDをもとにした職務評価を実施できない
- JDが配置や公募、育成、評価に活用されない
- JDが単なる形式的な文章になる
こうした事態を引き起こす背景には、JDの質と鮮度の問題があります。情報が陳腐化したり、そもそも施策に使える形で整備されていなければ、現場で活用されるはずがありません。
社内の職務情報が活用できる状態になっていなければ、本質的にジョブ型制度は動かないのです。
“使えるJD”を組織に定着させる4ステップ
AIとツールの活用で、ジョブ型を制度から運用へ
ジョブ型を“本質的に”機能させるには、「使えるJD」を設計・作成し、組織に根付かせていく必要があります。
具体的には、以下の4ステップによる仕組み化が必要です。
- 1. ジョブディスクリプションの活用イメージを策定する
- 職務評価、公募・配置、育成・キャリア開発など、JDをどの人事施策に活かすかを定義する
- 2. 活用に合ったジョブディスクリプションの設計
- 記載が必要な項目やスキルの粒度を統一し、JDのフォーマットを作成する
- 3. AIを活用したジョブディスクリプションの作成
- 2. で整理した項目やルールに沿って、AIで標準化されたJDを作成する
- 4. ジョブディスクリプションの活用フローを実装する
- JDの更新・運用ルールを整備し、現場で自然に使えるように仕組み化する
まず、ジョブディスクリプションをどのように活用するのか?どの人事施策に活かすのか?活用のイメージを策定します。
職務評価への活用、公募や人事配置における活用、人材育成やキャリア開発への活用など、あらかじめ具体的な活用イメージを策定することで、ジョブディスクリプション作成が目的化するのを防ぐことができます。
活用イメージ策定後、すぐにJD作成に進んではいけません。記載する項目やスキルの粒度など、活用目的に合わせたJDのフォーマットを整理したあと、実際にJD作成を進めていきます。
JDを単なるドキュメントではなく、人事施策を駆動する“情報基盤”に転換することが、制度を動かす第一歩となります。
“鮮度”を保つメンテナンス体制がジョブ型の生命線
JDの更新ルールを仕組み化せよ
ジョブディスクリプションを「作って終わり」にしないためには、常に最新版に保つ「JDの鮮度管理」が欠かせません。
実際のJDの更新作業だけでなく、更新時期のアラートやバージョン管理など、JDの鮮度を保つための仕組みの構築が重要です。
- 定期更新のルール化
- 期初や半年ごとの定期見直し、中期経営計画のタイミング等で一斉メンテナンス
- 不定期更新のルール化
- 人事異動や組織改編時に都度見直し
- 更新の自動検出&アラート
- 設定ルールに基づいて更新対象を洗い出し、担当者へ自動で通知
- 更新状況の一元管理&リマインド
- 更新の進捗をダッシュボードで把握、リマインドで対応漏れ防止
このようにして初めて、JDは現場で「今、使える情報」としての機能を果たします。
Job-Usで“運用されるジョブ型”を実現する
設計から運用までを支える、ジョブ情報の統合基盤
ジョブ型人事を本質的に運用するには、ツールによる仕組み化が不可欠です。
Job-Us(ジョブアス)は、ジョブ情報の設計から作成・更新・活用までを一気通貫で支援するクラウドサービスです。
- AIによるジョブディスクリプションの作成
- 記載ルールやレベル、業務範囲に基づき、JDをAIがレビュー
- JDの鮮度を保つ更新管理機能
- 基準・根拠を含めた客観的な職務評価をAIが対応
- JDと連動した人事評価・人材育成を実現
ジョブ型制度は、仕組みなしには動きません。
Job-Usを活用することで、“運用の谷”を越え、制度を「動かす」フェーズへと進めることができます。
ジョブ型人事の運用を本格化させたい方は、以下のリンクから詳細をご確認ください。